推理小説の嚆矢となるポーの小説。ドイルに影響を与え、ホームズものがあるのは知っていた。
自分の推理小説(探偵小説?)の原点はホームズから始まり、中学生になってこのでポーを知り、横溝正史と広がり、横溝正史が目指した本格推理ものということで、アガサ・クリスティやディクスン・カー、日本では高木彬光、そして社会派で森村誠一などへつながっていったかなぁ。
当時兄が角川文庫で買い込んできたのが始まりで、数年かけてほぼ横溝正史の本は揃っていた。
角川文庫が大キャンペーンをしていたおかげで、その後「本陣殺人事件」、「獄門島」やら「悪魔が来たりて笛を吹く」など、テレビでも映像化されて、自分としては「古谷一行」の金田一が定着していった。
横溝正史は本格推理ものに日本の文化を持ち込んで、独特の世界を作り出していると思うが、その暗さ、人間の暗黒な面を描き出すのが日本的ではあるが、ポーに描かれる独特の世界と共通するものを感じる。
そういえば、その前だったか、後だったか、角川書店は「人間の証明」「野生の証明」、で映画のヒットを出していたなあ。高倉健と薬師丸ひろこ。こちらも現代もの、社会派の推理小説(?)だが、推理ものということで読み始めて結構面白かった。
それより前、小学生後半くらいでドイルのホームズは結構読んでいたし、金田一少年の活躍する江戸川乱歩もいくつかは読んでいたはず。ホームズものは「シャーロッキアン」がいるほど読み込まれた古典なので、自分でも一通り、小学生向けだったと思うが、一そろいの短編と長編の全集が図書室にあったのでほぼ読んでしまっていた。
こうして記憶とたどってみると、推理小説は結構偏っているが、読んできたもんだと思う。坂口安吾の推理小説論を読んだことがあって、謎解きのヒントはすべて提示してあって、純粋推理で真犯人をみつけだすところが読者と探偵との競争であるというのが優れた推理小説という論で、自分も結構影響を受けていた。安吾の「不連続殺人事件」も読んだことがあるが、なるほどとは思うが、あまり面白かったとは思わなかったなぁ。
とまれ、推理小説というジャンルは今は幅広く、警察ものとか、検事ものとか、弁護士が主人公だったりするものに広がっていく。その根底には犯罪の陰にひそむ人間性の理解が大事だったりして、これはこれで仮想の世界ではあれ、人間理解のヒントにはなるのではなかろうか。