2014年上半期のNHK連続テレビドラマ小説「花子とアン」。
近年にない高視聴率ですっかり有名になってしまった主人公の村岡花子。実は「赤毛のアン」の翻訳をしていたころから大田区大森に住まいを構えておられたようで、自分もすぐ近くの本門寺裏に住んでもう16年になるもんだから、とても親近感が湧く。テレビ放映中は地元でも話題になっていたし、家のあったところは見学できるようになっていたらしい。(行ってはいないのだが)
また、クリスチャンで、これも自分の住まいの近くにある「大森めぐみ教会」に通っておられたことを知り、讃美歌の翻訳などもしていたようで、これもまた、めぐみ教会をよく知って(教会員ではないし、入ったこともないが、大森4中のすぐそばにあり、日曜日は礼拝の鐘の音が響いていた)いる自分には勝手に縁を感じているところ。
このシリーズで「赤毛のアン」(久万嘉寿恵訳~村岡さんではない)を読んでいた中学生時代にはそんなことを知る由もなく、単純に楽しく読んでいた。きっかけはなんだったろうか。
おそらく、フジテレビで放送されていた「アルプスの少女ハイジ」(1974年~カルピス劇場)を見ていたことが始まりではなかろうか。ただ、リアルタイムでは見ていない。
というのも1974年の放送時間帯(日曜午後7時30分~)は「侍ジャイアンツ」(1973年10月~74年9月)の後「宇宙戦艦ヤマト」(74年10月~75年3月)と重なっていてそっちはバッチリみていた記憶があるので、その後の再放送で午後5時台くらいにやっていたのを見たのではなかろうか。そうすると少なくとも75年後半以後だ。その「ハイジ」にはかなりコミットしてみていた記憶がある。とすれば小学校5年生、11歳くらい。そして「ハイジ」はおそらくそのころ本で読んだのだろう。印象も深くのこっている。ハイジに関してはその後小学校で実写版を映画なども見た記憶が(おそらくテレビ放送のすぐあとの頃)あるので、かなり刷り込まれているように思う。
そして、「赤毛のアン」が世界名作劇場として1979年に放送が始まっている。その後1979年というとすでに中学2年生だが、実は「赤毛のアン」のアニメは一切見ていない。「ハイジ」につながる話題のアニメ~名作劇場として~が始まるということで話題になっているのはどこかで聞いたのだろう。そこで、自宅にあったこの中学生の本棚シリーズの一冊を手に取った、ということになるだろうか。
とにかく、そんな出会いの「アン」なのだが、今回再読して感じたこと。
率直に行ってストーリはすべて知っていて、懐かしい場面が次々と出てくる。読みながら、結構「アン」に関しては読み返していたのだと思う。何回読んだらこんなに懐かしく、次の章で起こる事件とか、アンの様子とか、マリラの慌てぶりや性格が見えてくるようになるのだろう。そのくらいリアルに場面が立ち上がり、主人公にも、マリラにも、マシューにも感情移入ができるのだ。中学生時代の読書というものはこんなにも定着するものなのだろうか。いや、小説全体がとても記憶に残るものであるのは間違いないのだろう。
これが「アン」のファンが多い理由なのだとおもった。
そもそも、中学時代、「赤毛のアン」がおもしろい、なんて友達に言ったら「男子が!」という感じでみられそうだったから友達に話したことはなかったが(兄貴が時々どうしたものか、「りぼん」とか「マーガレット」とか買ってくるもんだから、その影響も少しはあったかも・・・・「つる姫じゃー!」とかは単行本もあったし)、今思えばいい時期に「アン」を読んでいたのだと思う。
ところで、アンとの出会いを書いていて気がついた。
ハイジとアンは時代も違えば国も違うし、作家も全く関連性はないのだが、どちらも早くして両親を亡くした孤児が、引き取られて行った先のハイジはおじいさん、アンはマリラとマシューという大人たちの心を洗い流し、親心?人間らしさ?を取り戻していくストーリーが組み込まれていて、どちらもキリスト教がベースになっていることと考えあわせると(特にハイジはキリスト教が強く出てくる)、マタイによる福音書、イエスの山上の垂訓、5の8「心の清い人たちはさいわいである、彼らは神を見るであろう。」そして、18の3「よく聞きなさい。心をいれかえて幼子のようにならなければ、天国にはいることはできないであろう。」などの聖句が思い浮かんでくる。
つまり、「救い」というテーマが根底に潜んでいるのだろう、と思うようになった。両親を失った「孤児」という立場がイエス(=救い主)に通じる存在で、その孤児を助けているようだが、実はそれが神の救いの御業であるという物語。
自分がキリスト教にコミットしていくようになったのは、ハイジとアンの出会いが大きかったように思うし、また根底にある救い主の思想は、小説のみならず人生全般を生きるにあたって普遍的なテーマだと、改めて感じることができた。
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